はじめに

このドキュメントは、著者視点でのマネジメントというロールを考える上でのポイントについてつらつらと記載したポエムのようなものになっています。 社内向けに公開していたものを一部修正して公開しているため至らない点がある可能性があります。文体が安定していない背景でもあります。ご容赦ください。 また、ブログという形式ではありますが、将来に渡って加筆修正を行う可能性があります。こちらもご容赦ください。

マネジメントに関する話を記載しているため、著者の経歴を軽くご紹介しておきます。 経歴詳細は Wantedly をご確認ください。

  • 2000〜2010年: 各種 SIer で主にプログラマ・SE として様々開発、後半は自社において課長職(メンバー数名程度)を担当。
  • 2011〜2016年前半: グリー株式会社にてエンジニアにはじまり、最終的にはメンバー200名程度の部署の部長職を担当。
  • 2016年(9ヶ月): 株式会社リクルート住まいカンパニーにてGM職を担当。メンバー20名程度。
  • 2016年後半〜: 現職、株式会社スマートドライブにてエンジニア、マネージャーを担当。マネージャーをやっているときはメンバー10名程度。

最も新しいインタビュー記事はこちらです。ご参考まで。

「マネージャーってなんすか?、いりますそれ?」

僕の人生における最頻出クエスチョンからはじめましょう。(ぼくが聞かれまくってるやつっていう意味です)

なんらかのチームがあったとして、そのメンバーが1人の時、それがマネージャーかつ手を動かさない人だったらなんのチームだろうってなるじゃないですか。なのでマネージャーはいらないでしょう。

同様に、メンバーが3人の時、どうでしょう。まぁ仲良くやっていけてたらすごくいい感じかもしれませんね。

では、10人の時、どうですかね。学生の頃とか思い出していただきたいのですが、一つのグループが10人ってなかなかの大所帯ですよね。人数多めのグループってたいていはグループ全体の意思決定を行う人が一人あるいは数人いませんでしたか?なんとなくそんなイメージを持っていただければとりあえずオッケーです。

最後に、30人の時、学生の頃だったらクラスって呼ばれてる箱に入ってましたよね。担任の先生とかいましたし、学級委員なんていう役職のような、ロールのような、そんな存在もいたかと思います。クラスの中に複数のグループがあってそれぞれがそれぞれの思惑でいろいろやってたりもしましたよね。あるあるな話だと、修学旅行の行動班分けでもめたりしましたよね、で、それを委員的な人とか担任の先生とかが諌めてみたりとか、そんな雰囲気。

なんとなくイメージ湧いてきたでしょうか。

人間がいっぱいいるといろいろおきる、なので、まとめる存在がどうしても必要になる、その存在のロールだったり役職だったり、あるいは、パーソナリティだったりはいろいろあるけれども、必要になるという一点では間違いなさそうな気分になってきたかと思います。

結論、人間がいっぱいいる場合、まとめ役が必要、その役割を担う人のことをマネージャーと呼ぶ、だいたいこんな風に理解するとよいかとおもいます。

マネージャーの資質について

世の中にはいろいろな「マネジメント」を題材にした本が流通しています。玉石混交ではあるんですが、毎年ビジネス書ベストセラー上位にはマネジメントの本がある、みたいな、みんなマネジメント勉強してるんだな〜難しいんだな〜っていう気分になってきますよね。

なんというか、結構元も子もない、日本人的な感覚でいうところの「がんばればできる」「努力は必ず報われる」みたいな観念的かつ日本人に刷り込まれた呪い(僕は呪いだと思っている)、あるじゃないですか、あれ、マネージャーには当てはまらない部分があります。残念ながら。

マネジメントって先に結論になっちゃうんですが、「素質」「知識」「経験」の三点セットを持っていないとできない、あえて言い方を変えると、やってはいけない(組織が破綻するから)っていうロールなんですよね。

この中で最も重要かつ唯一の必須の要素は「素質」で、その素質とはなにかというと

Integrity

です。日本語だとなんていうんでしょう、真摯さとか、誠実さとか、人として正しい有様とか、あとはなんでしょうね、ノブレス・オブリージュとか、そういう言葉に含まれる要素を総合したような素質が必要です。

Integrity を備えた人物かどうかは生まれと育ちで概ね決定されます。 子供の成長だったり生涯学習のような観点だったりから様々な意見があるとは思いますが、最高の学習環境かつ英才教育を与えることが可能な環境で育成されたパターンと、その逆のパターン、どちらがより受験戦争で勝ち残るか、そういった確率論の話として捉えると理解できるかと思います。

一例として、Integirity が低い人物がマネジメント側の仕事をすると以下のような現象が発生するようになります。

  • 法令を遵守することよりも、目の前の売上を向上させることを優先する
  • 自身や管掌している組織を存続させることを第一義とした行動・思考を行う、これにより組織の腐敗がはじまり、将来のコンプライアンスリスクが向上する
  • 個人の意志を通すために様々なハラスメントを行う

短期的な視点で見たときには業績を向上させるような実績/スキル/ロジックを持った人物だからといって、重用して時間が経過してみると最終的には組織に大ダメージを与えるという結果をもたらす可能性が向上する、この一点をもって Integrity が低い人物をマネジメントとして配置することのリスクは理解できるかと思います。

ちなみに、ここのお話には引用元があって、ピーター・ドラッカーの「マネジメント 基本と原則」の「マネジャーの資質」という節に書いてあります。(古い本なので現代だとイマイチなところは多いですが参考になる部分も多い書籍です) Integrity については こちらの記事 も参考になります。

マネージャーロールを行うにあたって必要な知識について

マネージャーを任された!やることになった!みたいな状況で本を読んでみたりネットで調べてみたりしていろいろ勉強すると思うんですが、それぞれがそれぞれの言いたいことや経験に基づいた体験談みたいになってて自分に当てはめてみてもよくわからない、あるいは、当てはまらないみたいな状況に陥ることがめちゃくちゃよくあると思うんですよね、僕もそうでした。いっぱい失敗しました。

で、一旦立ち止まってめちゃくちゃふりかえってみたときにふと柱みたいなものが一つあることにあるとき気づきました。

それは 期待すること で、これがマネジメントにおいてのメタ知識になっていると思ってます。

例えば、マネージャーといえば評価とかしたりするじゃないですか。偉そうで僕は好きじゃないんですが、評価を上長から聞かれて答えないといけないシーンはよくあります。優秀な人の評価を聞かれた時はその優秀さをひたすら褒めればオッケーなので難しくないんですが、逆に、めちゃくちゃ問題のある人の評価を聞かれた時にどう答えるといいんだろうなと考えていた時期があって、

  • 彼・彼女はどういう人なんだろうか
  • 彼・彼女は今優秀じゃないように見えるけれども、はたして、どういったことをしてきたんだろうか
  • 彼・彼女はこういうスキルがありそう、あるいは、向いている可能性がありそう、だから、こういう仕事を任せてみたらどうだろう
  • 彼・彼女にそれを伝えたときにどういった反応をしそうだろうか、こういう反応をしたらこう答えよう、ああいう反応をしたらこう答えよう(以下いろいろシミュレーション…)

みたいなことをつらつらと考えているうちに、そして彼・彼女とめちゃくちゃ 1on1 するうちに、大抵はその人のことを好きになるし、同時にこういう風に優秀になってほしいみたいな期待をするようになっちゃうんですよね。これが 期待すること の一例です。 今どうこうじゃなくて、将来どうこう、そういう視点を持てる相手であれば期待するようになってしまうし、その彼・彼女も人なので期待されると答えたくなっちゃってがんばっちゃう、そして正のスパイラルが動き出す、みたいな。成長するんですよね。

逆にこういうプロセスを経ても好きになれなかったり、どうしても期待できそうもない、そんなことも正直結構あって、そういう時はちゃんとスパッと見切りをつけるのも大事だったりします。これは端的にいうと、可処分時間をどのように割り当てると組織としての成長に最も寄与できるかという観点の話です。農業や工業などでは最終アウトプットを最大化するために歩留まりを最大化する、そのために不良な部分を予め削除してしまう、そういう発想が有効とされているかと思います。これを組織内のメンバー全員を有限のリソースと考え全体の中で成長が遅い部分を剪定するという話に置き換えてみると理解できるかと思います。冷たい話だとは思うのですが、強い意志をもって組織全体を最適にする意思決定ができるかどうか、ふりかえってみたときにこれが会社の成否、事業の成否に直結していたなと実感することはものすごく多かったなと記憶しています。

閑話休題

期待すること がメタ知識であるという話をここまでしてきましたが、その 期待すること を具体の行動としてリストにしてみると以下になると思ってます。

  • 仕事を任せ
  • 成功したときは褒め
  • 雲行きが怪しくなりそうなときは支え
  • 失敗した時は一緒に泣き
  • そしてもう一度期待する
  • (最初に戻る)

なんというか、親と子の関係と一緒ですね。

逆の話をひとつ取り上げておきましょう。 親と子の関係にも通ずるところがあるかなと思いますが、いわゆるプレイヤーからマネージャーになっていったような人(大抵そうですよね)は実務においても優秀なことが多々あるため、以下のような感情に支配されることがよくあります。

  • 自分がやったほうが速い
  • 任せてもまた失敗するのではないか

これは対象となる彼・彼女の成長機会を減らしてしまうことになり、彼・彼女が優秀ではないままに、そして組織としての成長もできなくなり、、、という負のスパイラルに入る典型的なアンチパターンなのでよくよく注意しましょう。彼・彼女と自分とに真摯に向き合い続けましょう。

マネージャーの実務について

これは各組織によって様々だとおもうのでこのドキュメントでは触れないことにします。 一般的には

  • 労務まわり
  • 組織運営まわり
  • 評価まわり

が必須項目かと思いますが、組織の組成の経緯や意志によるので別ドキュメントをあたってください。

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